姫路城に伝わる伝説

伝承される逸話について

姫路城の歴史を見てきたが、あれだけの戦火に煽られながらも危機的状況を一度ならず二度までも回避することに成功した、これは大変希有なことだ。全体像こそ保てなかったことは致し方ないとして、城郭として最も重要な部分である天守付近が戦乱の火に煽られることなく、舞い落ちる火の雨に焼かれることなかったことは日本としてはある種救いだったのかもしれない。もしどちらかの歴史的事態において、姫路城が何らかの壊滅的ダメージを蒙られることになっていれば、その他の城跡と同様跡形もなく消失していた事は確実だ。それこそ国宝や世界遺産といった話に関連する事無く、姫路市における観光スポットというポジションも獲得する事が出来なかっただろう。ただ江戸終盤と大戦時では、おそらく後者の方が奇跡という言葉を当てはめやすい。前者はこう言ってはなんだが、賄賂によって何とか戦乱を回避することに成功したが、あくまで余計な血を流さないようにするためという意図が大きかった。一方で大戦時に姫路城は日本軍が軍事拠点として応用していたため、間違いなく爆破予定地として見られていた事は疑いようのない事実。それにも関わらず焼け野原と化さなかったこと、自分達の象徴として誇らしかった城が残っていた事は、家や家族、あらゆるものを喪失した姫路の人々にとって偶像的とも言える希望をもたらすことになった。

建造されてから650年以上が経過している姫路城だが、これだけ長いと当然様々な逸話が存在している。かの豊臣秀吉が一時期拠点としていたことも興味深いが、それと連動して様々な逸話が姫路城には残されている。伝説・逸話、こういった単語を聞くと個人的に好奇心を煽られるわけだが、やはり調べないことに事は始まらないだろう。

ここからは世界遺産、国宝として日本の誇るべき史跡として存在している姫路城に残されている伝説と逸話などについて話をしていこう。

姥が石の話

観光地としてもはや姫路市にとって定番スポットとなっている姫路城には、毎年80万人以上は来客している事はそれとなく調べれば情報は集められる。近所の人達にとっては見慣れた景色となっているが、他の地域から訪れた人達からしてみれば美しいという言葉がこれほど当てはまるものは無いだろうと感慨に浸ることだろう。別の視点ではこれだけの建築が過去、機械がまだ存在していなかったころに作られたという事実に圧倒される、なんてこともあるかもしれない。

そんな姫路城の天守付近の石垣にちょっとした名物があるのをご存知だろうか。これは過去に豊臣秀吉のエピソードにも語られることもあるモノで、こちらを見たいと考えている人もいるかも知れない。天守を下から見上げる中で、石垣の中に1つ金網に覆われた半円の形をした石がそこにはある。その石は『姥が石』といわれるものだが、これがかの天下人として日本の歴史に名を刻んだ豊臣秀吉と深い関係があるのかというと、側にある看板で詳細が語られている。

姥が石について

羽柴秀吉が中国攻めの拠点として、この姫山に三層の天守を築いている時に、城の石垣の石が中々集まらず、苦労しているという話が広まっていた。浄化でやきもちを打ていた貧しいとある老婆がそれを聞くと、『せめてこれでもお役に立てれば』と古くなった石臼を差し出したという。これを知った秀吉は大変喜び、石臼を現在の乾小天守北側の石垣に使用することを決めた。その後、この話は伝聞されていき、人々がここぞとばかりに石を寄進したため、工事は順調にはかどっていったと言われている。

これは実際に説明されている説明そのもので、石垣を作成している最中にせめて役に立てればとばかりに老婆が渡した石臼の欠片を、そのまま石垣の一部として使用したというのだ。

当時、秀吉が日本の天下統一に成功したことで次の目標として朝鮮へとその切っ先を向けるために姫路城の一部を建築している最中、材料となる石が集まらなかったという。先にも話したように、石垣だけの高さだけで14.85mもある。これだけの高さを形成するための石を集めるとなればどれ程の数が必要となるのか、城郭として眺める事の出来る石垣の内部にもおそらくかなりの数積まれているため、正式な数は計ることは出来ないと思う。ただ少なく見積もっても石垣を形成するだけの大きさを有している石を集めるとなれば数十万単位にも及ぶ膨大すぎる量の石を集めなければならない。それならば集まらないで困っていたというのは納得のいくところ。むしろよくここまで集まったなと結果論からすれば言いたいところ。

そんな困った秀吉を助けるために何とか非力な自分でも手助け出来ればと、石臼を提供した老婆の献身さに秀吉の心は打たれたというべきか、石臼の欠片をそのまま石垣の1つとして積み上げていくことになった。この話を聞いて人々がこぞって石集めを手伝ったというが、今の時代と違って豊臣秀吉のような存在は神にも等しい存在だったのかもしれない。いわば忠誠心も相まっていると分析することも出来る。中には単純に自分を知ってもらえればという魂胆を持っていた人もいるかもしれないが、老婆の起こした行動から後手となってしまっているため意味は為さない。心温まるエピソードというか、どこか昔懐かしい話といったところかもしれない。

ちなみにこの『姥が石』の『姥』とは『老婆』を意味しているため、文字通り老婆が提供した石臼の欠片といったところだ。

天空の白鷺こと、国宝 姫路城とは

日本では国宝、世界では世界遺産として認定されている伝統文化遺跡である『姫路城』、その大天守部分を改修する工事『天空の白鷺』が2014年1月にその作業を終了した。来年の工事完了が待たれている姫路城は、今でも多くの観光客に愛されている観光地としても親しまれている。そんな姫路城について考察していこう。